前回はSASのクソな部分シリーズを取り上げました。
ですがもちろんいいところはあります。今回はSASの長所について考えていきます。
入力補完
学生の方であればSAS Studioを使用しているかもしれません。仮想PC上でしか動作しないという制約があるとはいえ洗練されているインターフェイスですし、なにより入力補完が使えるのがすばらしい。
入力補完とはステートメントやオプションの一部を入力するだけで候補となるステートメントとオプションを表示してくれる機能です。選択してエンターを押すと入力してくれます。
入力補完だけでなくステートメントの説明も表示されます。またデータセット名も同じように保管してくれるのでコード作成が速いです。
この機能はVisual studioなどではおなじみの機能ですが、これがSASで使えるのはとても良いと思います。
コードと実行結果はタブ切り替えられる点も便利です。プログラムごとに結果とログの画面が独立しているため、複数のプログラムを開いて作業しているときは重宝します。
タブ表示
上の画面は私の私物PCにインストールしたSAS Studioです。各プログラムごとにタブが表示され、ログ、結果、出力データのタブがプログラムのタブの下に設置されています。従来のSASはログと結果画面は一つしかなかったので、出力結果がごっちゃにならず気に入っています。
一方、実務では・・・
SAS Studioを使っている学生さんは就職してSASを使うことになったら、今まで使ってた開発環境と同じものを使うのだと思っているかもしれませんが・・・
少なくとも臨床開発ではSAS Studioではなく従来のSASを使っているところがほとんどだと思います(規模が大きいところは特に)。少なくとも私は使ってません。
従来のSASにはタブ表示も入力補完もありません。基本的にGUIや入力補完といった開発支援機能はほとんどないです。一応ODS Graphics Editorというグラフ作成支援ソフトはあったりしますが、すべてのグラフステートメントに対応しておらず生成するコードはGTLなのでちょっと敷居が高めです。私は手打ちのほうが圧倒的に早いので使ってませんが。
SASを導入しているほとんどの団体はSAS studioが使えるはずなのですが、SAS旧バージョンでの解析案件もまだありますので、臨床統計の実務では従来のSASクライアントの操作にも慣れておいたほうが良いでしょう。
今日では当たり前の機能
SAS studioはとても優れた開発環境のように感じられますが、pythonやRだと当たり前ですからね・・・
RはRstudioで、pythonはpycharmやVS codeも入力補完機能が使えます。jpyter labにも入力補完機能が追加されるとか。
タブレイアウトも今となっては珍しくありません。
そのため開発環境に関してはSASは他言語よりも有利とはいえない状況です。悲しいね・・・