日常的にSASを使っている私ですが、正直あまり好きな言語ではありません。
言語仕様もそうだし、提供元のSAS社についてもそうです。SASユーザーって本当に少ないので、何が良くないのかが、世間一般にはあまり知られていないと思います。
今回はSAS言語(+SAS社)について私がだめだと思う部分を100%主観でお送りします。
高すぎる!!!
SASを導入している企業の担当者の心の声を勝手に代弁します。
ソフトウェア価格が高すぎます。これが最大のクソポイント
オープンソースであるpythonやRはもちろん、SPSSと比べても高額です。ネットで見ると高いとしか書かれておらず、具体的にはどれくらい高いのかは書かれておりません。
SASは基本的に見積もりを取って購入するものなので、会社の業種やパッケージの内容で変わりますが、私の経験をもとに推察するとSAS baseスタンドアローン版1ライセンスを導入するのに年間数十万円くらいは見たほうがいいと思います。
サーバー版だとSAS/GRAPHも追加して100人以上のユーザーであればたしか1000万は余裕でかかるはず。
年間でこの人数であれば、おそらくユーザー一人当たり月額1万くらいにはなるかもしれませんが、これくらい解析担当者がいる会社ならサーバーは複数持っているはずなので、実際は一人あたり月額5,6万いってもおかしくはないでしょう。大口契約であってもこれくらい。
これはあくまで年間ライセンスの金額ですからね?またIML(行列計算パッケージ)などの追加パッケージを導入すればもっとかかるはずです。
pythonはnumpyがあるから行列計算も無料なんですけどね。SASにはユーザーサポートがあるから決して同じというわけではないのですが、このお金があればサーバーやネットワークの増強に回せるよ・・・
ちなみに以前はもう少し安かったらしいです。CROなどのSASヘビーユーザーに対しては値上げしているとの話も聞きます。そのため今後はコスト削減のためSASの運用体制を見直す動きも出てくるかもしれません。
SAS viyaとかSAS enterprice guideとかはまあGUIてんこ盛りなので値段がそれなりにするにはわかりますが、従来からあるソフトくらいはお安くしてくれたっていいのに・・・
殿様商売
高いのならコストが安い言語に移行すればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、SASは臨床開発に関しては事実上の標準言語で、社内システムや手順書などはすべでSASの仕様に基づいて作成されています。SASをやめるためにはそれらを全部作り直さなければならず、莫大なコストがかかります。なんか銀行システムとcobolみたいな関係ですね。
cdiscでよく使われるxptファイルもSASのデータセットに基づいて設計されていますし。
使用言語の切り替えが難しいので、SASが値上げしてもユーザーは素直に従って金を支払います。うらやましい商売です。いくら値上げしても客は減らないんだから。
暗雲
しかし、この状況は今後も続くのかといわれると怪しいと思っています。
臨床研究においてはSASよりもRを使っているケースが多いでしょうし、臨床開発でRの実績数は増えています。SAS/GRAPHのライセンスがないのでRのggplotで代用しているのも見たことがあります。
信頼性でSASを選ぶ時代ではなくなりつつあるのでしょう。
実際のところ製薬企業は今はそこまでお財布事情はよくありませんので、SASのような金食い虫を贅沢に維持する余裕はありません。ゼロとはいきませんが、どんどん減らしていくのではないでしょうか。そもそも今はCROに外注にだしまくってますし。
また最近のトレンドである深層学習はSAS単体では難しいです。SAS viyaは深層学習が扱えるはずですが、結局pythonを使っているので、pythonも勉強しないといけません。
Rとpythonという選択肢が徐々に広がってきている現状を考えると、少しずつ状況は変わりそうです。