SASのくそな部分をぶった切る!

SASのクソな部分をぶった切る!(最終章)SAS社がSASユーザー総会から手を引いた件について (1/2)

これまでSASの良くないところを検証してきたくそな部分をぶった切るシリーズですが、今回で最終回となります。

いままでSASユーザー総会の事実上のホストであったSAS社ですが、ついにSASユーザー総会の運営から手を引くことになりました。
今年のSASユーザー総会でも正式に発表されております。

世話人会も大幅な運営方針の変更を余儀なくされたようで、今年の開催状況からしてもかなりのコストカットを実行しているようでした。

中の人からすれば泣きっ面に蜂でしょうけど、個人的にはむしろ良い方向に進んじゃないかなと思っています。

兆候

今回の件が正式に発表されたのはSASユーザー総会当日でしたが、実は事前に兆候がありました。
いままではSASユーザー総会の公式ページはSAS社のウェブサイトで告知されていましたが、今回から全くの別ドメインで告知されていました。

https://sas-user2023.ywstat.jp/”>sas-user2023.ywstat.jp

SASユーザー総会ってこれまでも協賛企業がいましたが、基本的にSAS社が予算をつけて実施していたようです。そりゃ自社プロダクトのイベントなんだから当たり前ですよね。
他のソフトウェアでもユーザー総会のような集まりがあるケースがありますけど、基本的にソフトウェア開発元が主催です。

なのでSASユーザー総会の告知を自社ドメインでやらないって本来あり得ないんですよね。 私は告知ページが公開されたあたりでこれに気付いたので、世話人のSASYAMA君に聞いたところ
今回の件が判明しました。ドメインから推察されるとは思っていなかったのかもしれないけど、これだけ大幅に変わればだれでも違和感を持ちますよ。

ドメイン名もSASユーザー総会とは全く関係のないドメインで、ドメイン情報を見ると個人が取得したものだったので違和感を持ったのですが、後に他の学会のサイトも同じドメインを使いまわていることが分かったので、こういうのは一般的だったようです。知りませんでした。

手を引いた理由

自社プロダクトの宣伝の場かつユーザーサポートの一環であったはずなのに、どうしてSAS社がユーザー総会の運営から手を引いたのか言いますと、まあ身も蓋もない言い方をすれば

SAS米国本社がSASユーザー総会に金を払う価値がないと判断したからっぽいですね。

今回のユーザー総会にSAS社が協賛としてブース出していたらしいので日本法人は内心そうは思ってないのかもしれないけど、金の流れは正直ですよ。金の流れから本音が透けて見えます。

SAS米国本社が自社イベント自体を自粛しているというわけではありません。さらにSAS社は業績良いので、業績悪化が理由でユーザー総会への出資を打ち切ったわけでもありません。実際今年はラスベガスでSASの大型イベントを開催しています。

ただしラスベガスと日本のユーザー総会のコンテンツの傾向は全く違います。
ラスベガスのほうはSAS viyaかVisual analyticsの発表が多いです。AIとか機械学習といった最新のトピックやライフサイエンス以外の発表が目立ちます。

マクロ変数に関する話題とSAS baseからSAS viyaへの移行方法とかSAS 9.4 M8の紹介とかも実施していましたから、SAS baseむけのコンテンツも多くはないとはいえ用意されています。proc mcmcやproc fcmpといった既存のプロシジャの紹介もありました。この辺は日本と同じです。

一方日本のSASユーザー総会はほぼ製薬関係者しか参加していませんし、発表内容はSAS viyaに代表される最新のSAS製品の紹介はほとんどないです。CROや製薬会社でのviyaの利活用はいままでほとんどなかったはずです。S製薬は使ってた気がするけどね。それにSAS日本法人の発表自体最近は減ってます。

こうしてみると米国イベントが日本のユーザー総会と決定的に違うのは、SAS viyaなどの最新のSAS製品の発表が多いのと製薬以外の発表がさかんだという2点であり、これがSAS社がSASユーザー総会の資金提供を打ち切った最大の理由なのだと思います。最新のトレンドに乗れていないのが致命的なんじゃないかな。

まあ確かにSAS社の最新パッケージを使わずにSAS baseばかり話題にあげてましたからね。SAS社のトレンドに全く乗れていないイベントは予算つけるメリットはないのでしょう。
新規ユーザー獲得にも全く貢献していないわけだし、支援を打ち切られてもしょうがないのではないでしょうか。

コストカット

その結果今年からは大幅にコストカットを実施されてました。論文集は紙での配布はなくなり、演題登録などの事務手続きはすべてwebサイト上で実施。参加費はクレカで決済。さらに新たな取り組みとしてランチョンセミナーの募集もしていました。

なんか世話人会とSAS社は対等だとか言ってたけど、これ見ると資金面は完全にSAS社依存だったんですね。金は出さないけど立場は同じだとするなら、いずれは関係は解消になっちゃうんじゃないですかね。。。普通に考えれば資金提供しているほうが偉いと思うけどね。まあ結局それが現実になったわけですが。

ちなみにランチョンセミナーは結局なかったようです。

医療従事者が来るのなら製薬会社がランチョンセミナーやるかもしれないけど、来場者はCROが多いんだからランチョンセミナーやるメリットないですよね。CROはすでに協賛しているわけで追加の資金提供は難しいでしょう。SAS社が負担していたものの肩代わりはさすがに無理ですよ。ただ協賛企業が今年は多かったのでなんとかなったようです。CRO以外の企業さんも協賛されていました。

演題数の増加

おそらく相当声掛けをしていたのか演題数は近年で最も多くなっていました。製薬以外にもマーケティングの発表もあり、活気を取り戻したといってよいでしょう。

ただイーピーエス1社だけで13演題も発表していたのはちょっと驚きです。

ユーザー総会はプレゼン資料と論文も用意しないいけないので発表者からすれば結構負担です。さらに今回は非常に短い期間で資料を作らなければならなかったのでかなり厳しかったはず。
しかしイーピーエスの今年の演題数は例年の約2倍です。これまでの発表の機会がなかった分の反動とはいえテコ入れしないとここまで増えないのではないでしょうか。

まあ組織的に指示があったのかなあ。。社内の勉強会の資料とか別の学会とかで発表した資料を使ったのですかね。でもそこまでやることに何かメリットがあるのでしょうか?

後編に続く